簡単なのに効果的! 自宅でできる頭痛体操
私が一次性頭痛の患者さんに対しておすすめしているセルフケアの方法として力を入れているものに、「頭痛体操」があります。
頭痛の引き金となる首や肩の筋肉を鍛え、血流をよくする体操で、すべての体操をひと通りやっても15~20分程度でできる方法です。
これまで薬物乱用頭痛の患者さんはもちろん、片頭痛や緊張型頭痛など、さまざまな頭痛の方に実施し、効果を得ることができました。実施した数はのべ、1万人以上になりますが、薬による治療と並行して体操をすると、相乗効果によって発作の回数が減ったり、痛みが軽くなったりということが確認されています。
当院では専門のスタッフによって体操の指導をしていますが、コツさえつかめば、読者のみなさんにもできる方法です。
この章では読者のみなさんに体操の効果と具体的なやり方をわかりやすく紹介していきたいと思います。
頭痛体操で頭痛を予防
頭痛に悩んだことがある人は、「頭痛体操」という言葉を聞いたことがある人が多いのではないかと思います。
頭痛体操は筋肉の凝りが原因で起こる緊張型頭痛の非薬物療法として、かなり前から知られていました。副作用が少なく、基本的に費用もかからないことから、日本頭痛学会ではグレードB(行うよう勧められる)と評価されている方法です。
実際、緊張型頭痛の人は会社では頭痛がするけれども、週末に運動をすると症状がやわらぐという人も多く、頭痛体操だけでよくなるケースも珍しくありませんでした。
近年、この体操が片頭痛にも効果があることがわかってきました。その理由は後で詳しく述べますが、ひとつには片頭痛のメカニズムが血管の異常な拡張・収縮で起こること。肩や首に筋肉の凝りがあると血行障害が起こり、それが片頭痛発作の引き金になることから、体操で血流をよくしてあげることが片頭痛の予防につながるという考えです。
私自身もそのことは実感していました。頭痛体操の指導を始めたばかりの頃は、主な緊張型頭痛やの患者さんたちでした。
ところが、これまで各章でご説明してきた通り、パソコンの普及などとあいまって、緊張型頭痛と片頭痛をあわせもっている人が増えてきました。緊張型頭痛を引き金に、重症の片頭痛に移行してしまった人もいます。
このような患者さんに試しに体操を指導して見ると、
「片頭痛の発作回数が減った」
「発作が楽になった」
「気分がすっきりします」
などと喜びの声をたくさんいただくようになり、今では広く、一次性頭痛全般にこの頭痛体操を指導しています。
具体的には週に1回、